GCFについて

◆ GCFの紹介
  • 緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)は、先進各国が基金を造成して、発展途上国における気候変動による被害を軽減しまた適応できるように支援することを目的にしており、この基金を管理するために設立された。
  • · いわば、緑の気候分野における世界銀行(Wold Bank)であり、実際に「第2の世界銀行(WB)」とも呼ばれる。
  • · 国連気候変動条約(UNFCCC)の金融メカニズム運営機関であるGCFは、気候変動対策に特化した世界最大の基金で、地球環境基金(GEF)のような従来の気候関連基金とは異なり、地球における温室効果ガスの削減など気候変動対応策に財源を集中的に投入するといった特徴がある。

一般現況

  • 設立の背景
    • GCFの設立背景としては、①温室効果ガス排出量の増加による地球平均気温の上昇とこれに伴う海面上昇の加速、②台風、大雨、大雪、干ばつ、山火事、砂漠化など自然災害の頻発、③生態系の破壊、食糧と飲料水の不足、各種疾病の発生などの問題に対し、国際社会が共同で対応する必要性が提起されたことがある。
  • 目的
    • GCFは上記のような問題を最小限に抑えるための国際的な取り組みによって誕生しており、低炭素を達成して気候回復力のある持続可能な発展へとパラダイムを転換するため、開発途上国の気候変動適応と温室効果ガス削減支援を目的としている。
  • 設立根拠
    • 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第3条1項に基づき、気候変動に対する「共通だが差異ある責任」に基づき先進国が発展途上国の気候変動対応を財政的に支援する。
  • 設立経緯及び主要沿革
    • 2009. 12: 基金設立に関する議論開始(UNFCCC COP 15、コペンハーゲン)
    • 2010. 12: 基金設立に合意(COP 16、カンクン)
    • 2011. 12: 基金の設計案を採択(COP 17、ダーバン)
    • 2012. 10: 仁川市・松島をGCF事務局誘致都市に決定(第2回GCF理事会)
    • 2012. 12: 事務局誘致都市(松島)承認(COP 18、カタール・ドーハ)
    • 2013. 12: 事務局の発足(松島Gタワー)
    • 2014. : 運営原則及び指針の策定、初期資源の募集開始
    • 2015. : 基金の初期投資を決定
    • 2016. : 基金の最初の正式運営年度15億ドル以上規模の35のプロジェクトポートフォリオを開発
    • 2017. : 6億3,300万ドルを投入し、19のプロジェクトを実行
    • 2018. : 気候変動プロジェクトに50億ドルを投入、基金の初めての財源補充を開始
    • 2019. : 供与国/都市で最初の補充期間中に合計98億ドル以上供与を約束
    • 2022. : グローバルなパンデミック以降、初めての対面会議を開催、2次資金補充のスケジュールを議論

GCF組織

  • GCFの組織は大きく理事会(Board)と事務局(Secretariat)、そして資産管理専門機関である受託者(Trustee)で構成されている
    • 理事会はGCFの統括監督及び管理、事務局は理事会支援及びGCF運営実務、受託者はGCFの資金管理を行う
      • 理事会(Board)
        • 機能:理事会はGCFガバナンスの中核として、開発途上国支援事業の承認、GCF事務局の運営など、基金運営に関する全般的な意思決定を行う
        • 構成:理事24名、理事代理24名の合計48名で、開発途上国と先進国同数で構成し、任期は3年
        • 共同議長:議長の任期は1年であり、バランスのとれた運営にするため、先進国と途上国に各1人ずつ配分し、大陸別に持ち回りで選出される
      • 事務局(Secretariat)
        • 機能:事務局は基金の行政、法律、財政関連業務の遂行及び理事会の行政支援を行う
        • 事務総長:マファルダ・ドゥアルテ(Mafalda Duarte、ポルトガル、任期:2023.8.~2027.7.)
        • 所在地:仁川広域市 延寿区 アートセンター大路 175、Gタワー
      • 受託期間(Trustee)
        • 機能:GCFの資産・基金の管理と効率的な運用のために指定された金融機関として、 理事会の決定に基づき、GCFの資金管理、財務状態の把握、記録、報告などの役割を遂行する
        • 臨時受託機関:2010年メキシコ・カンクンで開かれたCOP16で世界銀行(World Bank)が臨時受託機関に選定され、2012年4月から世界銀行が臨時受託機関の役割を遂行している

GCF基金造成

  • 韓国は初期の財源造成(2015.~2018.)に1億ドル、1次財源補充(2020.~2023.)に2億ドルを供与しており、2次財源補充(2024.~2027.)では3億ドルの供与を約束した
    • 基金造成に関する詳細な状況はGCFホームページを参照
      • 資料(出典):緑の気候基金(GCF)が仁川地域経済に及ぼす影響に関する分析(仁川研究院、2024、パク・チャンヨル)

誘致経過及び成功要因

誘致経過

  • 2012. 2. 22: GCF誘致候補都市に指名(企画財政部→仁川市・ソウル市)
    • 2012.3.5:GCF誘致候補都市申請書を提出(仁川市→企画財政部)
    • 2012.3.13:誘致提案説明会を開催(企画財政部誘致都市選定委員会)→国内誘致都市として仁川市確定
  • 2012. 4. 15: GCF政府誘致申請書提出*(GCF臨時事務局)
    • 申請国(6):韓国、ドイツ、スイス、メキシコ、ポーランド、ナミビア
  • 2012. 8. 23 ~ 25: 政府代表団、GCF第1回理事会参加(スイス・ジュネーブ)
    • GCF事務局誘致国の選定手続き(マルチプルラウンド方式) - 誘致申請国(6か国)によるプレゼンテーションの発表
  • 2012. 9. 16 ~ 18: GCF誘致国評価委員会の開催(アメリカ・ワシントンDC)
    • 評価結果:韓国、ドイツ、スイスは評価基準すべてにおいて最上位等級(Green Light)を達成
  • 2012.10. 18 ~ 20: GCF第2回理事会(仁川市・松島)
    • GCF事務局が韓国仁川市・松島に確定
  • 2013. 12. 4: GCF事務所の開所(仁川市・松島)

成功要因

  • 国際的な協調努力を引き出す仲裁者としての役割を果たしたこと
    • G20ソウル・サミット、釜山開発協力フォーラム、核セキュリティ・サミットなど国際会議を成功裏に開催し、国際的に有意義な結果を導き出したこと
  • 韓国のGGGI、NIGTのようなグリーン成長に向けた取り組みにより、GCFの誘致条件に優れていること
    • 排出ガス自主規制、排出権取引制の導入、GGGI設立などのグリーン成長への取り組みとODAを2020年までに50億ドル以上に拡大するなどの政策がグリーン成長を牽引するリーダー国として認められたこと
  • 大統領府、企画財政部など中央省庁と仁川市による全方位的かつ効果的な誘致活動
    • G20、Rio+20、外国首脳の訪韓などの機会を最大限に活用し、誘致の正当性を説得すると共に、韓国の誘致論理におけるコンセンサスを形成
    • 貿易協会長を中心とした民間誘致委員会と役割を分担し、体系的な誘致活動を展開
  • 仁川市民と公務員による全面的な支持と支援
  • 準備されたG-Tower、外国人にやさしい定住環境に造成された緑の都市としての松島の存在感

GCF発展途上国支援事業

  • 支援地域:気候変動脆弱国として分類される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に参加した発展途上国
  • 事業分野:開発途上国における温室効果ガスの削減(Mitigation)と気候変動適応(Adaptation)の50:50割合
    • 財源の50%以上を後発開発途上国(LDCs)、小島嶼開発途上国(SIDS)、アフリカ諸国に配分
      区分, 事業分野로 구성된 표
      区分 事業分野
      温室効果ガスの削減
      • 低炭素エネルギーの生産及び普及
      • 低炭素な交通手段
      • ビル、都市、産業及び機器におけるエネルギー効率の改善
      • 森林及び土地利用
      気候変動適応
      • 気候変動に脆弱な住民と地域社会の生計
      • インフラ及び人工環境
      • 保健、食糧、水の安全保障
      • 生態系及び生態系サービス
  • 事業規模:合計386の事業、133カ国、615億ドル(GCF資金 160億ドル)
  • 事業効果:31億トンの温室効果ガス(CO2)の削減、10億人への恩恵
  • 認証機構:139か所(韓国KDB産業銀行、KOICA、SK証券を含む)

GCFの波及効果をさらに高めるために

  • 将来性が高い緑の気候関連事業の集積化を通じて韓国内の気候テックの戦略的成長基盤 及び世界市場への進出拠点を造成することで、国家競争力を確保し、 グローバルグリーン産業を牽引するインフラを迅速に構築する必要がある。
    ⇒ 緑の気候複合団地(G-Blocks)造成事業に対する地域及び国レベルの支援と関心が必要

    <事業概要>

    • (事業名) 緑の気候複合団地(G-Blocks)の造成
    • (事業位置) 仁川広域市 延寿区 松島洞24-1、2、3、(Gタワー付近)
    • (規模) 敷地面積 18,500㎡ / 延べ面積 112,407㎡
    • (事業費) 5,518億ウォン
    • (事業内容) 緑の気候クラスターの造成:業務スペース、国際会議場、協力プラットフォームなど
    To further increase effects of GCF
    • 上記画像は参考例(案)であり、今後の設計公募により確定予定